アコムでの借り入れが住宅ローンに影響する?しない?

アコムなどの消費者金融で借り入れを行った過去がある場合、住宅ローンの審査に影響を与えることはあるのでしょうか?

結論を書いてしまうと「カードローンで借金があったとしても、住宅ローンでお金を借りることは可能」です。

もちろん、どんな借金の内容でも審査に通過できるわけではありません。

どのような借り方なら住宅ローンへの影響が少ないのか、これから解説していきます。

住宅ローンの主な審査項目

住宅ローンの審査項目は、簡単には書き表せないほど多岐に渡ります。
数千万円のお金を融資するのですから、当然と言えば当然です。

今回は、代表的な審査項目として以下の5つをご紹介します。

  • 完済時年齢
  • 年収
  • 健康状態
  • 連帯保証
  • 返済負担率

完済時年齢

完済時年齢は文字通り、住宅ローンを完済する時の年齢です。
借入時の年齢が35歳で35年ローンを組んだ場合、完済時年齢は70歳になります。

なぜこのような審査項目があるかというと、サラリーマンの場合は「65歳で定年退職した後も返済できるのか」が問題になるためです。

サラリーマンが定年退職を迎える65歳までに完済できるのであれば、返済能力を証明することができます。

「ローンの返済期間を短くする」「できるだけ早めに借り入れる」などの手段によって、定年退職前に完済できるようなプランを検討する必要があるでしょう。

年収

住宅ローンの審査に大きな影響を与えるのが「年収」です。
これは月収の30%~35%前後を、住宅ローンを返済するための金額として充てることを想定しているためです。

原則として年収は、高ければ高いほど生活費以外に使えるお金が増えるので、余裕をもって返済できると判断されやすくなります。

また年収に付随する項目に「勤続年数」もあり、こちらも長ければ長いほど審査に有利になるといわれています。

一般的には、3年以上あれば理想的と言われています。
半年~2年程度の短期の場合は「もし辞めたら返済能力がなくなるのでは?」と危惧されてしまうことになってしまいます。

健康状態

健康状態のチェックは、団体信用生命保険を通じて行われます。

団体信用生命保険とは、住宅ローンの返済中に不慮の事故や病気で死亡した場合に、加入者の代わりに住宅ローンを完済してくれる保険のことです。

団体信用生命保険に通過するためには、健康診断書または人間ドックの検査結果を提出する必要があります。

申し込みの時点で健康について決定的に問題になる内容があった場合には、住宅ローンの審査に通過できない可能性があります。

常日頃から体調に気を配ることが、住宅ローンの審査に影響を与えるわけです。

連帯保証

連帯保証人に有無によって、住宅ローンの審査に通過できる可能性があがるほか、融資金額がアップすることが考えられます。

ただし、連帯保証人には、通常の保証人と違って以下のようなデメリットが存在する点に注意が必要です。

  • 催告の抗弁権がない
  • 検索の抗弁権がない
  • 全ての連帯保証人が全額を返済する義務を負う

「催告の抗弁権」とは、貸金業者がいきなり連帯保証人に返済を請求してきた場合「まずは主たる債務者に請求してください」と主張できる権利のことです。
通常の保証人には認められた権利ですが、連帯保証人には認められていません。

「検索の抗弁権」とは、主たる債務者が返済できる資力があるのに返済しない場合、貸金業者に対して主たる債務者の財産に対する強制執行を主張できる権利のことです。
これも通常の保証人には認められますが、連帯保証人には認められません。

また、通常の保証人とは「返済する金額も異なる」点に注意が必要です。
通常の保証人が2人いた場合、それぞれの負担額は借金全体の1/2です。

連帯保証人の場合は、それぞれが借金の全額を返済する義務を負います。

このように、主たる債務者が返済できなくなった場合、連帯保証人は多大な影響を受けることがあります。
連帯保証人を誰かにお願いする際は、慎重に行わなければいけません。

返済負担率

これまで紹介したように、銀行の住宅ローン審査では、カードローンでチェックされる「属性情報」よりも相当に細かいところまで見られるのが原則です。

住宅ローンの審査ではこれに加えて「返済負担率」という審査項目が重要になっていきます。

「返済負担率」とは年収に占める借金の割合のことで、以下の計算式で表すことができます。

年間返済額÷年収×100

どのくらいの返済負担率まで抑えればいいのかは銀行ごとに異なるため、明確には分かりません。
一般的には30%、できれば25%以内に抑えるのが良いと言われています。

返済負担率を減らすには

返済負担率を下げる方法としては「借金を減らす」あるいは「年収を上げる」の2通りしかありません。

年収300万円の人が毎月5万円(年間50万円)を返済する場合、返済負担率は20%です。
これが毎月4万円に減れば返済負担率は16%まで減ります。

逆に毎月5万円を返済している人の年収が600万円であれば、返済負担率は10%まで下がります。

25%程度が理想|カードローンを使うと比率が増す

年収600万円の人が返済負担率を理想的といわれる25%に収めたい場合、月々の返済金額は125,000円までに抑える必要があります。

月の住宅ローン返済額を10万円にすると仮定した場合、ほかに借金できるのは月に25,000円までしかありません。

仮に月30,000円のカードローンを組んでしまっている場合、審査に通過することが難しくなります。

カードローンの借り入れが返済負担率に与える影響が大きいことを理解し、不要なカードローンは組まないことが大切です。

返済負担率があまりに高くなると影響あり

銀行の審査において重要な審査項目として、借金の「金額」があります。
住宅ローンの審査において銀行は「その人の年収に対する借金の割合」を重要視するためです。

一般的に年収に占める借金の割合が30%以下でない場合、住宅ローンの審査に通過できない可能性があります。

年収600万円の人であれば、カードローンなどの借金の合計が180万円以内でない限りは審査に悪影響があるということです。

年収に占める借金の割合(返済負担率)は、これから借り入れようとする住宅ローンの返済分も含めて30%以下であることが必要な点に注意が必要です。

住宅ローンに申し込む前に返済比率がすでに30%になってしまっている場合は、審査に通過できないと思っていた方が良いでしょう。

カードローンの利用履歴は隠すことができない

「カードローンの利用履歴なんてバレないのでは?」と考える人もいるかもしれません。
しかし、カードローンを利用していることを隠して申し込んだとしても、全くの無駄です。

過去にカードローンに申し込んだ、借り入れた、返済したといった履歴は全て「個人信用情報機関」に記録されています。ローン会社は審査の際に個人信用情報機関のデータベースにアクセスして、申込者の全ての履歴をチェックするためです。

カードローンを利用するための全ての履歴が残されているため、虚偽の報告でごまかすことは絶対にできません。

また、審査において虚偽の報告をしたことによってローン会社の信用を決定的に失ってしまうことになります。

個人間のお金の貸し借りも同じですが、虚偽の申告をする人にお金を貸してくれないのは当然です。そうして住宅ローンの審査に落ちた記録もまた、個人信用情報機関に記録されることになります。

カードローンの利用だけで落ちる可能性

住宅ローンの審査用紙には、「現在の借金の残高」という項目に借り入れた目的などの詳細を記入する必要があります。

これは、銀行が「何のために借金」をしているのかについても細かくチェックをするためです。

教育ローン等であれば印象は悪くはなりません。一方、使途不明の借入金が多額になってしまう場合は印象が悪くなる可能性があります。

このような使途不明のお金を多く借りている場合、ローン会社の審査では「お金に困っている人」と判断されてしまうことがあるためです。

その場合、「カードローンを利用している」というだけで審査に落ちてしまう可能性は十分に考えられます。

カードローンを使っていないのに住宅ローンに落ちた場合の理由

カードローンを全く使っていなかったとしても、審査に落ちてしまうことは十分に考えられます。

どのような理由で、審査に落ちてしまうのでしょうか?

過去に返済の遅延などの事故情報を発生させた

返済の遅れは、一定期間を過ぎると個人信用情報機関に記録されます。
「一定の期間とは」、61日以上あるいは3ヶ月以上に及ぶ延滞のことです。

この状態がいわゆる「ブラックリストに載った状態」であり、カードローンの利用の有無にかかわらず、審査に通過することができなくなります。

どの銀行に申し込んだとしてもブラックの状態は筒抜けになるため、住宅ローンを利用したい人は絶対に延滞をしてはいけません。

そもそも銀行の審査項目を満たしていない

すでに紹介したように、銀行の住宅ローンの審査には「完済時年齢」「年収」「健康状態」「連帯保証」「返済負担率」などの項目に分けられています。

カードローンで借金をしすぎて審査に影響するのは「返済負担率」ですが、住宅ローンの審査項目はそのほかにも多岐に渡ります。

これらは総合的に判断されるため、ただ「カードローンで借金をしていない」というだけでは審査に通過できるとは限りません。

全ての審査項目で高得点が取れるように、あらかじめ準備しておくことが大切です。

すでに住宅ローンを契約したあとのカードローン

逆に「すでに住宅ローンを借りている場合」には住宅ローンを利用できるのでしょうか。

住宅ローンがあってもカードローンの借り入れが可能

通常、カードローンを借りる時は「総量規制」に抵触しないように借り入れる必要があります。

総量規制とは「貸金業者は利用者の年収の3分の1までしか貸付できない」というルールのことです。年収300万円の人の場合、ほかのカードローンで100万円を借り入れていると新しく借り入れることはできません。

一方で、住宅ローンは総量規制の対象外です。住宅ローンで数千万円の借金をしているといって、カードローンに申し込めなくなることはありません。すでに住宅ローンを利用している人であっても、カードローンへの申し込みは問題なくできます。

アコムの公式サイトで行える返済シミュレーションを使う際には、「他者借入金額」には住宅ローンを除いた金額を入力すればOKです。

住宅ローンの審査に通過するために

せっかく住宅ローンに申し込むのですから、審査に通過する可能性が上がることは何でもやっておきたいですよね。少しでも通過する可能性を上げるためのポイントを解説します。

不要なカードローンは解約

「カードローンを持ってはいるけど利用はしていない」という人は、住宅ローンの「申し込みの際には要注意です。

カードローンは設定された利用限度額まではいつでも借りられる状態のため、借金と一緒とみなされることがあります。

使ってもいないカードローンが返済負担率を引き上げてしまわないよう、不要なカードローンは事前に解約しておきましょう。キャッシング枠が付帯されたクレジットカードも同様です。

せめて利用額の減額を

一時的に資金繰りが厳しく、審査に影響を与えると分かっていても利用限度額を0にすることがどうしても難しいこともあるかもしれません。

その場合でも、できるだけ限度額を低く抑えるように「減額」の対応をするべきです。

減額をした分だけ返済負担率が下がり、住宅ローンの審査に通過しやすくなります。

事故情報の履歴が消えるまで待つ

住宅ローンの申し込みの履歴は、審査を申請した時点から半年間は個人信用情報機関に記録されます。
短期間に申し込むと、過去に住宅ローンに落ちた履歴が残ったままです。その状態で申し込んでも、ふたたび審査に落ちる可能性は高くなります。

また、返済の延滞や自己破産などの「事故情報」が記録された場合、最低でも5年間は記録されたままになります。

もう一度住宅ローンに申し込むなら、半年や5年という節目を超えて情報が削除されてからの方が通過できる可能性は高くなるでしょう。

アコムでの借り入れが住宅ローンに与える影響 まとめ

今回は、過去にアコムなどの消費者金融カードローンの利用履歴があった場合の、住宅ローン審査への影響について解説しました。

ただ利用しただけでは、住宅ローンに影響を与えることはありません。

しかし、「現在も年収の30%を超えて借りている」「過去に返済の延滞による事故情報が記録されている」といった場合には、審査に落ちてしまう可能性が高まります。

普段から返済の延滞だけは発生させないようにすること、不要なカードローンは解約することが大切になります。”